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ピッコリーには毎月たくさんの新しい本が仲間入りします。その中から、数冊みなさんにご紹介する「新着本紹介」。 そして、ピッコリーのスタッフたちが新着本とは関係なく、気に入った本や音楽を紹介する「おすすめ本」。チェックしてね。
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新着本紹介

絵本『わたしの おひっこし』
さくまゆみこ 訳
光村教育図書
女の子が一人、玄関前の階段で浮かない顔をして座っています。目の前の庭には、家具や家電など、これまで使っていたものがずらり。女の子は今度、家族で小さなアパートに引越しをすることになり「おひっこしセール」をしているのでした。思い入れのあるベッドや自転車が、知らない人に買われていく様子に、女の子のやり切れない気持ちが伝わってきます。引越しの理由が「おかねのこと」だったり、おばさんに「あなたもうりものなの?」と聞かれたり…。けれど、最後は家族の絆をしっかり感じることができ、家族みんなに笑顔が戻ります。家がからっぽになっても前向きに生きようとする女の子の姿に、励まされます。(A)

知識『はるの くさばなあそび』
佐野 高太郎 写真
ひさかたチャイルド
最初のページには身近な場所にはえている春の草や 花の紹介があり、図鑑のように調べることができます。そしてそれらの草花を使っての遊びがたくさん紹介されています。例えば、マレンゲソウの花のくきをからませながら編んでかんむりにしたり、開く前のタンポポの 綿毛をびんに入れて綿毛のびんづめを作ったり…。写真で、春の草花遊びの楽しさを伝えます。絵本をヒントに、 屋外で遊び植物や自然が身近に感じられる一冊です。(N)
おすすめ本
★はピッコリーにある本です
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★『はるにあえたよ』
原 京子 作
はた こうしろう 絵
ポプラ社冬眠から目覚めたばかりの、双子のクマが「はる」を探しにいきます。森の中で「はる」を探しますがなかなかみつかりません。あきらめかけたとき、双子のクマが見つけた「はる」はみどりとあかの服を着た金髪の女の子でした。その「はる」はにこにこ笑っておひさまのタルトをくれました。そして「はる」は手をふり、スキップをしながらいってしまいました。双子のクマのモノクロで描かれた冬の世界が、徐々に「はる」色に変化をしていきます。テーマである「はる」の文字が通して桃色なのが印象的です。双子のクマたちの気持ちが色の変化で表現されていて、、読み終わったあとには「はる」に出会えたようなあたたかな気持ちになります。
(ピッコリースタッフ:尚)
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★『わたしとわたし』(月刊かがくのとも 2018年1月号)
五味太郎 作
福音館書店「明日はテストだ!良い点をとるために勉強しなくちゃ」と思う「わたし」。一方で、「勉強したくなーい。漫画読みたーい」と思う、もう一人の「わたし」…。こういうことは、誰でもよくあることだと思います。「わたし」が思うこととは別の思いをもつ「わたし」。いい子の部分もあれば、その反対の部分もあります。その対比がおもしろく、わかりやすく描かれていて、「あるある!こう思うこと!」と、思わずうなずいてしまいます。そして、自分の中にいろんな違う面をもつということは誰にでもあって、それは当たり前のこと、と思うと心が軽くなりました。いろんな気持ちを抱えて生きていて、ときには自分がわからなくなることもある、複雑な「わたし」。子ども向けの本ですが、大人が読んでもハッとさせられます。「もうひとりのわたし」の、女の子の表情にも注目ですよ!
(ピッコリースタッフ:あや)
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『翻訳できない 世界のことば』
Era Francess Sanders 著、イラスト
前田まゆみ 訳
創元社2歳の娘が話す意味不明の言葉を聞いていて、彼女は何かを伝えようとしているのだけど、わかるようでわからない。健康保険証の入ったポーチで遊ぼうとしていた娘を制して、私が「これ大事(だから触らないで)」と言っていたら、そのポーチを「だいじー、だいじー」というようになりました。世界にある、たくさんの言葉を翻訳しようとしてもうまく翻訳できない言葉たち。この本はそういった言葉を紹介した本です。例えば、イヌイットのIKUTSUARPOK(イクトゥアルポク)という言葉は、「誰か来ていることを期待して、何度も何度も外に確認しにいくこと」。スウェーデン語のMÅNGATA(モーンガータ)は、「水面にうつった道のように見える月明かり」という意味だそう。どれもなんだか、言葉の向こうに広がる人々の気持ちや風景が見えてくるようです。原書のタイトルは「LOST IN TRANSLATION」。日本語からは、「こもれび」「わびさび」等がありました。
※情報センターにあります。(ピッコリースタッフ:ますこ)
『幻の翼(百舌シリーズ)』
逢坂剛
集英社文庫職場の人(同性)に「私、変なものが好きなんです。あなたのことが大好きです」と言われました。私は珍獣か? と思いました。さて、今回のおすすめ本は数年前にMOZUというタイトルで放送されたテレビドラマシリーズの原作です。私としてはテレビより原作の方がおもしろいと思いました。四半世紀前に書かれたものですが、古さも感じさせません。ところでこのシリーズでは、主に主人公の倉木サイドと敵役の百舌サイドに視点が分かれています。ドラマを見ていた時、私は常に敵役の百舌がんばれ…! と思っていました。こういうあたりが珍獣扱いされる所以なのでしょうか。
(ピッコリーネットワーク:青かびチーズ)